うちーノート

少しでも数学好きが増えますようにというブログ

【球体の体積】中学生に分かるように真剣に考えてみた

 

はじめに

全記事をまとめてあります.

ぜひ下のリンクから確認してください.

uchii-memo.hatenablog.com

 

この記事の目的:球体の体積を求める式の意味を中学生にもわかるように説明する.

 

球の体積

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体積\displaystyle V=\frac{4}{3}\pi r^{3}

目標:上式で求まる理由を知る(積分等の高校数学を使わずに)

 

2つの方法を考えた.

方法①:微小な四角錐を考える 

考え方

球の中に図のような四角錐を考える.

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四角錐の底面積(S_1) はなるべく小さいものとする.

四角錐は底面積S_1,高さr であるため,体積は次式で表せる.

\displaystyle S_1\times r\times \frac{1}{3}=\frac{r}{3}S_1

 

この四角錐がたくさん集まるとになるのではないか.

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よって球の体積は,この三角錐をたくさん集めたものなので,

\displaystyle V=\frac{r}{3}S_1+\frac{r}{3}S_2+…+\frac{r}{3}S_{100}

 \displaystyle =\frac{r}{3}(S_1+S_2+…+S_{100})

 

(S_1+S_2+…+S_{100}) とは球の表面積に相当するため,

(S_1+S_2+…+S_{100})=4\pi r^2

 

よって,

 \displaystyle =\frac{r}{3}(S_1+S_2+…+S_{100})

 \displaystyle =\frac{r}{3}4\pi r^2

 \displaystyle =\frac{4}{3}\pi r^3

 

\therefore 球の体積\displaystyle V=\frac{4}{3}\pi r^3

 

方法②:カヴァリエリの原理を使う

カヴァリエリの原理 

カヴァリエリの原理

切り口の面積が常に等しい2つの立体は,等しい体積をもつ.

   

適当に二つの立体を準備して並べます.

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適当な位置で切ります.

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このときできた切り口の面積(ピンク)を確認します.

違う位置で同様の作業を行います.

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どの位置で切っても常に切り口の面積が等しい場合

=2つの体積は等しい,といえる.

 

立体を二つ準備する

①球体

②砂時計型(下図の立体)

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砂時計型の体積を調べる.

円柱の体積=\pi r^2\times 2r=2\pi r^3

三角錐の体積=\displaystyle \pi r^{2}\times r\times \frac{1}{3}=\frac{1}{3}\pi r^{3}

砂時計型の体積=円柱-三角錐\displaystyle =2\pi r^3-\frac{1}{3}\pi r^{3}\times 2=\frac{4}{3}\pi r^3

  

砂時計型の体積は,球の体積の公式と同じ式で表される.

 

 指針(流れ)

あなたは今、球の体積を求める公式を知らないものとします.

砂時計型の体積=球の体積を示すことで,

(砂時計型の体積=\displaystyle\frac{4}{3}\pi r^{3}なので,)

球の体積=\displaystyle\frac{4}{3}\pi r^{3} を示すことができる.

 

カヴァリエリの原理を使う

①二つを並べて真ん中で切る

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どちらも半径rの円であるため,面積(ピンク)は等しいことは自明.

 

②中心から\displaystyle\frac{r}{2} の位置で切る

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(ⅰ) 球体の切り口=半径\displaystyle\frac{\sqrt{3}r}{2} の円

 面積=\displaystyle\frac{\sqrt{3}r}{2}\times\frac{\sqrt{3}r}{2}\times\pi=\frac{3}{4}\pi r^{2}

 

(ⅱ) 砂時計型の切り口=半径r の円から半径\displaystyle\frac{r}{2} の円を切り抜いた形.

 面積=\displaystyle\pi r^2-\left(\frac{r}{2}\times\frac{r}{2}\times\pi\right)=\frac{3}{4}\pi r^{2}

 

(ⅰ)(ⅱ)より,球体の切り口=砂時計型の切り口

 

どうやらどの位置で切っても,切り口の面積は同じになりそうだ.

一般化して確認してみる.

 

一般化する

③中心からhの高さで切る(0≤ h ≤ r

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(ⅰ) 球体の切り口=半径\sqrt{r^{2}-h^{2}} の円

 面積=\sqrt{r^{2}-h^{2}}\times\sqrt{r^{2}-h^{2}}\times\pi=\pi(r^{2}-h^{2})

 

(ⅱ) 砂時計型の切り口=半径r の円から半径h の円を切り抜いた形

 面積=\pi r^{2}-\pi h^{2}=\pi(r^{2}-h^{2})

 

(ⅰ)(ⅱ)より,球体の切り口=砂時計型の切り口

 

したがってカヴァリエリの原理から2つの立体の体積は等しい

\therefore 球の体積=砂時計型の体積\displaystyle =\frac{4}{3}\pi r^{3}

 

最後に

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