うちーノート

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「マイナス×マイナス=プラス」の理由【複素数平面】

 

 

はじめに 

全記事をまとめてあります.

ぜひ下のリンクから確認してください.

uchii-memo.hatenablog.com

 

記事の目的:「マイナス×マイナス=プラス」になることを複素数を用いて説明する.

 

「マイナス×マイナス=プラス」を考える前に,複素数の和積について深く考えます.

その結果を利用して,最後「マイナス×マイナス」を図解する流れです.

複素数の話が長めです.

 

虚数複素数 

言葉の意味をさらっておく.

虚数単位i:2乗して−1となる架空の数  ex) i^2=-1

虚数虚数単位i を使った数  ex) i, 2i, -5i

複素数:実数と虚数を組み合わせた数  ex) 2+3i, 4-i

 

複素数の図式化  

目的:複素数をどのように表現するか考える.

 

複素数架空の数であるため,数直線上に存在しない.

(数直線で表現できるのは実数まで)

複素数平面ガウス平面)を使って表現することにする.

 

複素数平面:数直線から虚数軸を垂直に引いて作った平面

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複素数複素数平面をつかって,以下のように表現する.

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複素数の足し算

目標:(2+3i)+(1-2i)=3+iを図解する.

 

複素数複素数平面で考えると,

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複素数の足し算はベクトルの足し算であるとわかる

 

複素数のかけ算

目標:(2+2i)(3+i)=4+8iを図解する.

 

複素数複素数平面で考えると,

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ぱっと見ただけでは,関係性がわかりにくい.

1. ベクトルの方向

2. ベクトルの大きさ

この2つに注目して考えていく.

 

1. ベクトルの方向

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予想:\beta=\alpha1+\alpha2  になっていそう.

 

2. ベクトルの大きさ

2+2i が作るベクトルの大きさ=\displaystyle \sqrt{2^{2}+2^{2}}=\sqrt{8}  

3+i が作るベクトルの大きさ=\displaystyle \sqrt{3^{2}+1^{2}}=\sqrt{10}

4+8i の作るベクトルの大きさ=\displaystyle \sqrt{4^{2}+8^{2}}=\sqrt{80}

 

予想:2つのベクトルの大きさをかけたものになりそう.

 

予想

複素数のかけ算の結果がつくるベクトルについて

1. 方向は2つのベクトルの角度を足したもの

2. 大きさは2つのベクトルの大きさをかけたもの

 

複素数のかけ算(一般化)

目標:複素数を一般化して予想が正しいか考える.

対象:(a+bi)(c+di)  a,b,c,d は実数

1. ベクトルの大きさ 

a+bi の作るベクトルの大きさ=\sqrt{a^{2}+b^{2}}

c+di の作るベクトルの大きさ=\sqrt{c^{2}+d^{2}}

(a+bi)(c+di) の作るベクトルの大きさ

\displaystyle =\sqrt{(ac-bd)^{2}+(ad+bc)^{2}}

\displaystyle=\sqrt{(a^{2}c^{2}-2abcd+b^{2}d^{2})+(a^{2}d^{2}+2abcd+b^{2}c^{2})}

\displaystyle=\sqrt{a^{2}c^{2}+b^{2}d^{2}+a^{2}d^{2}+b^{2}c^{2}}

\displaystyle=\sqrt{(a^{2}+b^{2})(c^{2}+d^{2})}  

\therefore 大きさは2つのベクトルの大きさをかけたもの

 

2. ベクトルの方向

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a+bi について考える。

a+bi の作るベクトルの角度(偏角)を\alpha とすると、

\displaystyle \cos\alpha=\frac{a}{\sqrt{a^{2}+b^{2}}},   \displaystyle \sin\alpha=\frac{b}{\sqrt{a^{2}+b^{2}}} 

よって,

a=\sqrt{a^{2}+b^{2}}\cos\alpha,   b=\sqrt{a^{2}+b^{2}}\sin\alpha

これを使って,

a+bi=\sqrt{a^{2}+b^{2}}\cos\alpha+(\sqrt{a^{2}+b^{2}}\sin\alpha)i

=\sqrt{a^{2}+b^{2}}(\cos\alpha+i\sin\alpha) 

同様に,

c+di=\sqrt{c^{2}+d^{2}}(\cos\beta+i\sin\beta)

 

(a+bi)(c+di) に当てはめる.

(a+bi)(c+di)

=\sqrt{a^{2}+b^{2}}(\cos\alpha+i\sin\alpha)\cdot\sqrt{c^{2}+d^{2}}(\cos\beta+i\sin\beta)

=\sqrt{a^{2}+b^{2}}\sqrt{c^{2}+d^{2}}(\cos\alpha+i\sin\alpha)(\cos\beta+i\sin\beta)

=\sqrt{a^{2}+b^{2}}\sqrt{c^{2}+d^{2}}(\cos\alpha\cos\beta-\sin\alpha\sin\beta+i\sin\alpha\cos\beta+i\cos\alpha\sin\beta)

=\sqrt{a^{2}+b^{2}}\sqrt{c^{2}+d^{2}}(\cos(\alpha+\beta)+i\sin(\alpha+\beta))

 

\therefore 方向は2つのベクトルの角度を足したもの

 

 まとめ

複素数のかけ算の結果がつくるベクトルについて

1. 大きさは2つのベクトルの大きさをかけ合わせたもの

2. 方向は2つのベクトルの角度を足したもの

 

予想は当たっていました.

以下この「複素数の掛け算」と「ベクトル」の関係を利用して話を進めます.

 

iの2乗を考える 

目標:i^2の値を図解により求める.

 

i がつくるベクトルは大きさ1角度90°.

よってi\times i が作るベクトルは大きさ1\times1=1,方向90+90=180°

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したがってi^{2}=-1

 

「マイナス×マイナス=プラス」について考える

目標:「マイナス×マイナス」の値を図解により求める.

 

ex) (-2)\times(-1)=2

-2 がつくるベクトルは大きさ2角度180°

-1 がつくるベクトルは大きさ1角度180°

よって(-2)\times(-1) が作るベクトルは,

大きさ2\times1=2、方向180+180=360° 

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 したがって「マイナス×マイナス=プラス」といえる.

 

「マイナス×マイナス」では180°どうしなので,一周回ってプラスになってしまうわけです.

図解すると直観的に理解できます.

 

 

最後に

全記事をまとめてあります.

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