うちーノート

少しでも数学好きが増えますようにというブログ

素数の旅

 

はじめに

全記事をまとめてあります.

ぜひ下のリンクから確認してください.

uchii-memo.hatenablog.com

 

 

素数

素数

1と自分自身以外に正の約数を持たない数(1を除く).

 

(例) 2, 3, 5, 7, 11, 13,…

 

素数無限に存在することが知られています.

また素数規則性はいまだ見つかっていません.

 

そんな謎多き素数の規則性を見つけようと,数々の数学者が挑戦してきました.

その中でも,数学の巨匠ガウスとその孫弟子であったリーマンの2人の数学者の奮闘に焦点を当てて紹介します.

 

ガウス

ガウスは「素数」に対してどのような発想で挑んだのか.

 

ガウスとは,1700年代に活躍した数学者のこと.

(ヨハン・カール・フリードリヒ・ガウス

 

ガウスは「素数」に対して,「素数階段」を作って規則性を見出そうとしました.

ガウス素数階段

ガウス素数階段

 

 素数のときだけ1段あがる階段

 

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実際に素数階段をつくって見ました.

この図をみて当時のガウスはどのように考えたのでしょうか.

 

ガウスはこの図の概形を関数で近似しようと考えました.

 

ガウス素数定理

ガウスはこの素数階段の概形を関数で近似できると考えました. 

それがガウス素数定理です.

ガウス素数定理

 

\displaystyle Li(x)=\frac{1}{\log 2}+\frac{1}{\log 3}+\frac{1}{\log 4}+...+\frac{1}{\log x}

 

ガウスは「素数階段」を上記のy=Li(x)で近似できると考えました.

 

素数階段とこの関数を重ねて表示してみます. 

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(黄=素数定理で提案した関数,赤=素数階段)

 

少しずれてますね.

しかし素数の表現に対数\logを使おうとした発想がとてもおもしろいと思います.

 

ガウス素数階段を作っている時に,あることに気づきました.

それを予想としてメモに残しました.

 

ガウスの予想

ガウスは登場する素数の個数に着目しました.

任意の自然数xx以下の素数の個数nについてある関係性がありそうと考えました.

ガウスの予想

 

\displaystyle \frac{x}{n}\simeq \log xn=x以下の素数の個数)

 

 ここでもまた素数の表現に対数\logを用いています.

 

実際に予想が当たっているのか確認してみます.

ガウスの予想と真値の誤差を検証しました.

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xの値を大きくすれば,徐々に誤差が小さくなっていることが分かる.

このままxの値を大きくすれば,もっと誤差が小さくなると考えられそうです.

ガウスの予想は当たっていそう?

 

ガウス素数の研究は以上です.

素数と対数\logに関係がありそうと考えましたが,結論には到達しませんでした.

 

この後,ガウス素数研究を孫弟子であるリーマンが継ぎました.

リーマンの素数研究について紹介します.

 

ベルンハルト・リーマン

ガウスの孫弟子に当たる人物です.

ガウス素数階段を継いで「素数の規則性」について研究を進めました.

 

リーマンの素数階段 

古い「ガウス式」の素数階段に変わり,新しい「リーマン式」の素数階段が開発されました.

リーマンの素数階段

 

素数のべき乗p^mのとき\displaystyle \frac{1}{m}段あがる

 

 

(例) x=2 のとき(2^1 なので)1段上がる

  x=4 のとき(2^2 なので)\displaystyle \frac{1}{2}段上がる

  x=81 のとき(3^4 なので)\displaystyle \frac{1}{4}段上がる

 

実際にリーマン式の素数階段を作りました. 

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ガウスリーマン式と並べて比較してみます.

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(赤=ガウス式,青=リーマン式)

ガウス式に比べて,リーマン式のほうが段数が多く細かいことが分かります.

 

どうして新しく素数階段を作ったのでしょうか.

リーマン式にすることでどのようなメリットがあるのでしょうか.

 

ずばり,素数定理との相性にメリットがありました.

リーマンの素数階段と素数定理

ガウス式の素数階段では,素数定理のグラフと近似できていませんでした.

では,リーマン式ではどうでしょうか.

 

リーマンの素数階段ガウス素数定理をかさねて表示します.

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(青=リーマンの素数階段,黄=素数定理で提案した関数)

 

無事に素数階段を関数で近似することができました.

ここからようやく「素数の規則性」について考察がスタートしました.

 

素数研究のその後

素数はいまだそれっぽい規則性は見つかっていません.

素数階段を用いた規則性の探索も大きな壁にぶちあったようで,結局は規則性にたどり着くに至らなかったらしいです.

 

しかし様々な数学者が,様々な発想で「素数の規則性」に挑む姿はとてもおもしろいので今回記事にしました.どうでしたか?

 

最後に

全記事をまとめてあります.

ぜひ下のリンクから確認してください.

uchii-memo.hatenablog.com